青空文庫

「美人鷹匠」の感想

美人鷹匠

びじんたかじょう

初出:「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号

大倉燁子33

書き出し

九年前の出来事小夜子は夫松波博士の出勤を見送って茶の間に戻ると、一通の封書を受取った。裏にはただ牛込区富久町とだけ書いてある。職業柄、こうした差出人の手紙は決して珍らしいことではないが、これは優しい女文字でしかも名前がない、彼女は好奇心にひかされて主人宛の親展書であるにかかわらず、開封した。「旦那様!」という書き出しにまず眉を曇らせ、キッとなって読み始めた。「あなた様は突然こういうことをお聞きにな

1 / 0