青空文庫

「梟の眼」の感想

梟の眼

ふくろうのめ

初出:「キング 一三巻三号」1937(昭和12)年3月号

大倉燁子29

書き出し

ポケットのダイヤ陽子は珍らしく早起きして、朝のお化粧もすませ、ヴェランダの籐椅子にながながと両足を延ばし、ココアを飲みながら、頻りに腕時計を眺めていた。客間の置時計が九時を打つと、それを合図のように玄関のベルが鳴って、貴金属商の杉村が来た、と書生が取りついだ。貴金属商というのは表面で、実は秘密に婦人達の間を廻り歩いている、損料貸しなのである。指輪や時計の交換などもやるので、重宝がられているのだった

1 / 0