青空文庫

「蘭郁二郎氏の処女作」の感想

蘭郁二郎氏の処女作

らんいくじろうしのしょじょさく

――「夢鬼」を読みて――

――「むき」をよみて――

初出:「読売新聞」1936(昭和11)年12月9日

書き出し

「探偵文学」誌上で発表された時、非常な好評を博した蘭郁二郎氏の「夢鬼」がこの度上梓された。私は早速また繰返して読んだ。いくたび読んでも面白い。妖魔の如き美少女葉子と、醜い憂鬱な少年黒吉との曲馬団の楽屋裏における生立から始まり、幼い二人はいつか互に愛しあうようになる。葉子にとっては戯れのようなこの恋も、黒吉にとっては実に命がけのものであったが、やがて移り気な彼女に捨てられる。恋に破れた彼は彼女を遂に

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