青空文庫

「特殊部落と寺院」の感想

特殊部落と寺院

とくしゅぶらくとじいん

初出:「民族と歴史 第二巻第一号 特殊部落研究」1919(大正8)年7月

喜田貞吉12

書き出し

部落民は一般に仏法に対して最も熱烈なる信仰を有している。彼らが寺院に参詣して仏を拝し法を聴くの状態を見るに、一心に浄土を欣求するの至情が躍如たるものがある。彼らには日常の生活に苦しむ身でも、御本山への志納金はあえて怠らない。旅費がなくなって空腹を忍びつつ、遠路を徒歩して、遂に行き倒れにまでなりかけた婆さんが、懐中なる阿弥陀様のお金には手をつけなかったという話もある。けだし彼らはもと屠殺を業とし、皮

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