みぞれのなか
書き出し
妹よあの跫音は何であらう喪はれた美しい日々の歌声ではない今日も夕暮近い霙の中を通つてよ怖ろしい鴉の黒い群であらうか散薬の重いしめりに病み呆けたわたしの胸にやつて来てわたしの肋骨をこつこつとたたく何であらう妹よお前さへ居ない此の部屋をこつこつとたたくのはいつたい何であらう霙のやうに冷たい死の掌か——霙のふる夕暮は霙のふる夕暮に似てさびしい私の若さ・いのちであるのだ妹よ底本:「増補森川義信詩集」国文社…
8e46b5bc1c6aさんの感想
まさに死に神登場が目に浮かびます。哀しみがコツコツと。