いのうえせんせい
初出:「井上先生喜壽記念文集」冨山房、1931(昭和6)年12月15日
書き出し
井上先生西田幾多郎井上先生の我學界に於ける功績の偉大なることは、あまりに顯著であつて、今更私などがかれこれ云ふまでもない。先生は實に語通りに我國の哲學界の元老である。私は久しく田舍ばかりに居たものから、左程先生に親炙する機會もなく、從つて先生について多くのものを語ることもできない。唯、先生の喜壽を祝すると共に、二三の思出を記すに過ぎない。私が先生に教を受けたのは明治二十年代の中頃であつて、先生が丁…