青空文庫

「天瓜粉」の感想

天瓜粉

てんかふん

初出:「詩精神」1934(昭和9)年9月号

書き出し

この兄が怖いかおぼつかなげな眼をおずおずさせて母の胸にあとしざりする久しぶりに会う兄は柿いろの獄衣その傍には肉親の談話を書きとめている無表情の立会看守世馴れた大人でさえおびえるこのコンクリトの塀のなかへよくやってきてくれた、妹よ兄はそんなに痩せてはいないだろうここでは鰯が食える豚肉のカレー汁が啜れる痩せているのはお前だこのごろのごはんに眼立つのは黒い麦粒だけだろう高い年貢は幼いお前までを押しひしぐ

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