青空文庫

「不思議な国の話」の感想

不思議な国の話

ふしぎなくにのはなし

初出:「金の鳥」1922(大正11)年4月号

室生犀星17

書き出し

そのころ私は不思議なこころもちで、毎朝ぼんやりその山を眺めていたのです。それは私の市街から五里ばかり隔った医王山という山です。春は、いつの間にか紫ぐんだ優しい色でつつまれ、斑ら牛のように、残雪をところどころに染め、そしていつまでも静かに聳えているのです。その山の前に、戸室というのが一つ聳えていましたが、それよりも一層紫いろをして、一層静かになって見えました。「あの山は何て山じゃ。あの山の奥は何処に

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