さんかいのいえ
初出:「苦楽」1926(大正15)年12月号
書き出し
三階の家は坂の中程にあった。向う側は古い禅寺の杉の立木が道路の上へ覆いかかり、煉瓦造りの便所の上まで枝を垂れていた。こんな坂の中途に便所がどうして建っているのか。一寸不思議な気がする、——その便所の廂へ瓦斯燈がさびしく点れていた。三階の一階は小間物屋を兼ねた店につづいて、造花屋があり、その隣は八百屋であった。二階は全部何時も借手がなく、雨戸は閉されがちであった。時たま、造花屋で大物の造花を拵える時…
f67227ecd8a1さんの感想
怖いのに読んでしまう 先が知りたくなる この緊迫感はなんだろう