青空文庫

「蝋人形」の感想

蝋人形

ろうにんぎょう

初出:「新小説」1908(明治41)年5月号

小川未明14

書き出し

私は一人の蝋燭造を覚えている。その町は海に近い、北国の寂しい町である。町は古い家ばかりで、いずれも押し潰されたように軒の低い出入の乱れた家数の七八十戸もある灰色の町である。名を兵蔵といって脊の高い眉の濃い、いつも鬱いだ顔付をして物を言わぬ男である。彼の妻は小柄の、饒舌る女で、眼尻が吊上っていた。子供に向ってもがみがみ叱る性質で、一人の清吉という息子があったが、母親の気質に似ないで、父親のように黙言

2021/05/12

b53e79cfe52cさんの感想

学校の同級生にはいじめられ、先生には差別され、親は生活が苦しくて愛情があってもそれには頼りきれず、恋にも破れる。そんな逆境に抗し切れない弱い人間を作者は突き放して描いている。

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