くし
初出:「文章世界」1908(明治41)年7月号
書き出し
町から少し離て家根が処々に見える村だ。空は暗く曇っていた。お島という病婦が織っている機の音が聞える。その家の前に鮮かな紫陽花が咲いていて、小さな低い窓が見える。途の上に、二人の女房が立って話をしている。「この頃は悪い風邪が流行ますそうですよ。」「そうだそうですよ、骨の節々が痛むんですって。」陰気な、力なげな機の音がギイーシャン、コトン!と聞えて来る。全くこの時風が死んだ。また降り出しそうな空には、…
19双之川喜41さんの感想
何故か解らないけど 心に残る。 櫛を 本当に落としたのかは 謎である。 童話作家が 書くと こうなると感じた。