きいろいばん
初出:「早稲田文學」1909(明治42)年4月号
書き出し
垣根の楓が芽を萌く頃だ。彼方の往来で——杉林の下の薄暗い中で子供等が隠れ事をしている。きゃっきゃっという声が重い頭に響く。北から西にかけて空は一面に黄色く——真黒な雲がその上に掩い被さって、黄色な空をだんだんに押しつけて、下に沈ませているようだ。刻々に黄色な空が減じて終には一直線となって、はっきりと地平線から此方を覗き込んでいる。それが厭らしい細長い眼付で笑っているように思われた。悪寒い風が北方の…
104e2783418eさんの感想
風景が浮かびながら、何故か、切ない気持ちになってしまいました。