青空文庫

「街の幸福」の感想

街の幸福

まちのこうふく

初出:「童話文学」1929(昭和4)年7月

小川未明11

書き出し

盲目の父親の手を引いて、十二、三歳のあわれな少年は、日暮れ方になると、どこからかにぎやかな街の方へやってきました。父親は、手にバイオリンを持っていました。二人は、とある銀行の前へくると歩みをとめました。そこは、石畳になっていて、昼間は、建物の中へはいったり、出たりする人々の足音が鳴るのであったが、夜になると、大きな扉は閉まって、しんとして、ちょうど眠った魔物のように、建物は、黒く突っ立っていました

2026/04/02

df28d9bd800fさんの感想

なんだか微妙なラスト、もう少し幸せな感じでも良かった気がするけど、これが小川 未明作品の良さなのかも。

2026/02/12

673649a8b464さんの感想

そんな終わり方!!!

2022/05/26

cdd6f53e9284さんの感想

文章の書き出しを「貧しいバイオリン弾き」と書き掛けて、ハタと考えた。 このお爺さんは、かつてはプロフェッショナルなバイオリン弾きだったのか、それとも手にしたバイオリンはただの小道具で、それが三味線でも尺八でも良かったのだとしたら、話は全然違ってくる。 例えば、かつては名バイオリニストの爺ちゃんが、何かの事情で華やかな場所から路地裏に身を隠していたのだが、その孫というのが美声の持ち主で、その才能を見抜いた爺さんが陰ながら尽力して少年を有名音楽コンクールで優勝させてしまうというストーリーのまず手始めのデビューというのが、この夜の街角、銀行前の一場面というのだったら、話は美空ひばりが主演した映画のような筋書きみたいになるのだろうが、どうもそんな感じではなさそうだ。 もっともっと陰気な貧困のスパイラルみたいな話のようだ。 お爺さんに死なれてしまった少年は工場の労働者になるのだが、機械事故で体に障害を負ってしまい、あのお爺さんと同じように自分もまたバイオリン片手に銀行前の同じ場所に立って通行人に銭を乞う身となる。 あの当時あったタバコ屋さんは、今もあるけれど、あの時の娘さんはもういない。という物語。 作者は、この最後にどのような感慨を読者に期待しているのだろうか。 また、あの少年の時に受けたと同じような同情を期待しているのだとしたら、処置なしだ。

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