青空文庫

「父の出郷」の感想

父の出郷

ちちのしゅっきょう

葛西善蔵23

書き出し

ほんのちょっとしたことからだったが、Fを郷里の妻の許に帰してやる気になった。母や妹たちの情愛の中に一週間も遊ばしてやりたいと思ったのだ。Fをつれてきてからちょうど一年ほどになるが、この夏私の義母が死んだ時いっしょに帰って、それもほんの二三日妻の実家に泊ってきたきりだった。この夏以来私は病気と貧乏とでずいぶん惨めだった。十月いっぱい私はほとんど病床で暮した。妻の方でも、妻も長女も、ことに二女はこのご

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