青空文庫

「ひすいを愛された妃」の感想

ひすいを愛された妃

ひすいをあいされたきさき

初出:「婦人倶楽部」1928(昭和3)年7月

小川未明23

書き出し

昔、ひすいが、ひじょうに珍重されたことがありました。この不思議な美しい緑色の石は、支那の山奥から採れたといわれています。そこで、国々へまで流れてゆきました。その時分の人々は、なによりも、真理が貴いということには、まだよく悟れなかったのです。そして、ひすいの珠をたくさん持っているものほど偉く思われましたばかりでなく、その人は、幸福であるとされたのであります。ふじの花咲く国の王さまは、どちらかといえば

2022/05/13

cdd6f53e9284さんの感想

なんという投げやりな童話なのだと驚きもし、呆れもした、 なにしろ、作者には、方々に拡散したストーリーの端々を収束しようという意欲が少しもないのだ。 これが、この物語に対する自分の第一印象だった。 王様は、美しいお妃さまが青い翡翠が好きだ欲しいと言えば何でも構わず買い与え、彼女が最高の物が欲しいと言えば、それを得るためには戦争も辞さず、やがて彼女がその翡翠の真贋に拘れば徹底的に解明して、しかし、宝石の過重のために圧死同様に死んでしまう。 なんだか自業自得のような気もするので馬鹿らしくて同情する気にもならないが、客観的に少し距離をとってこの物語を眺めてみると、結局、この物語って、玩具を買い与え過ぎたバカ親がダメ息子を作ってしまったような、つまらない教訓話以上のものではないのかもしれない。 そう考えてしまえば、とりあえずは楽だが、小川くん、芥川龍之介なら、こんなダレた童話は決して作らなかったぞ、いいかね、漱石先生に代わって言っておく。 以後、注意したまえ。

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