やぎゅうつきかげしょう
初出:「週刊朝日 新春特別号」1939(昭和14)年
書き出し
弟の窓・兄の窓一紺屋の干し場には、もう朝の薄陽が映している。干瓢のように懸け並べた無数の白い布、花色の布、紅い模様のある布などが、裏町の裏から秋の空に、高々と揺れていた。「そんな身装で、近所の人目につく。——お駒、もういい、家に這入っておれというに」又十郎宗冬は、叱るように、後から尾いて来る彼女へいったが、お駒は、「そこまで」と、いつもの癖のように、妾宅の露地から小走りに——ゆうべの寝髪のまま——…
cfc370d67cd2さんの感想
見てきたように言うじゃないの