むしゅくじんこくき
初出:「中央公論 夏季増刊号」1932(昭和7)年
書き出し
女被衣一「蒲団は——お炬燵は——入れたかえ」船宿のお内儀さんだ。暗い河岸に立って、いつもの、美い声を、張りあげている。息が、白く、冬の夜の闇に見えた。寒々と更けた大川の中で、「おう」と、船頭の答えをきくと、かの女は、河岸づたいに、五明楼の庭へ戻って、「あの……船のお支度が」と、女中へ告げた。上杉家の国家老、千坂兵部は、茶屋の若主人や、廓から送ってきた女たちの小提灯にかこまれて、ひょろりと、手拍子に…
cfc370d67cd2さんの感想
まさか こう終わるとは