青空文庫

「醤油仏」の感想

醤油仏

しょうゆぼとけ

初出:「改造」1928(昭和3)年5月号

吉川英治40

書き出し

一五月雨は人を殺す?……人入れ渡世の銅鑼屋の亀さんの部屋にいる、日傭取の人足達も、七人が七人とも雨で、十日も仕事にあぶれて、みんな婆羅門の行者みたいに目を凹ましていた。左次郎は隅っこに寝ていた。うすい蒲団へ柏餅にくるまって、気の小さい目をしながら、みんなの馬鹿話を聞いていると、何時までも飽きない気がする。話というと、この部屋では、色気と食い気よりほかになく、就中、十日も仕事がなくなっている時は、食

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