なるとひちょう
06 鳴門の巻
06 なるとのまき
書き出し
お千絵様さて、その後またどうしたろうか、お千絵様は?かの女の今の環境はしずかであった。爽やかな京の秋がおとずれている。部屋の前はひろい河原で、玉砂利と雑草とを縫う幾すじもの清冽は、加茂の水と高野川の末がここで落ちあっているのだと、和らかい京言葉をもつ小間使に教えられた。そこは、京の下加茂にある、所司代の茶荘であった。柳の並木を境に、梶井伏見家などの寮園があり、森の隣には日光別坊の屋根が緑青をのぞま…