みやもとむさし
06 空の巻
06 そらのまき
書き出し
普賢一木曾路へはいると、随所にまだ雪が見られる。峠の凹みから、薙刀なりに走っている白い閃きは、駒ヶ岳の雪のヒダであり、仄紅い木々の芽を透かして彼方に見える白い斑のものは、御岳の肌だった。だがもう畑や往来には、浅い緑がこぼれている。季節は今、なんでも育つ盛りなのだ。踏んづけても踏んづけても、若い草は伸びずにいない。まして城太郎の胃ぶくろと来ては、いよいよ、育つ権利を主張する。この頃殊に、髪の毛が伸び…
f584e53dd3faさんの感想
昔読んだ時を思い出します。大分忘れていました。新鮮に感じます。