青空文庫

「春の暗示」の感想

春の暗示

はるのあんじ

初出:「創作 一巻三号」1910(明治43)年5月

書き出し

25. ※. 10.午後三時過ぎ、薄黄水仙の浅葱の新芽枯れたる芝生のなかに仕切られたる円形或は長方形の花壇のなかに二寸ばかり萌えいづ。その幾何学的なる配列のつつましさよ、風微かにかよふ。水噴かぬ錆びたる噴水の露盤より静かに滴る水滴。温室前の厚葉シユロランの高きそよぎ。キミガヨランの長きしだり葉に日は光り、南洋土人の頭飾の如くにうち動ぐ。植物園事務室より出で来りし、若き紳士の紺の背広に赤皮の靴のやは

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