いちぢくのは
〔夏の午前よ〕
〔なつのごぜんよ〕
書き出し
夏の午前よ、いちぢくの葉よ、葉は、乾いてゐる、ねむげな色をして風が吹くと揺れてゐる、よはい枝をもつてゐる……僕は睡らうか……電線は空を走るその電線からのやうに遠く蝉は鳴いてゐる葉は乾いてゐる、風が吹いてくると揺れてゐる、葉は葉で揺れ、枝としても揺れてゐる僕は睡らうか……空はしづかに音く、陽は雲の中に這入つてゐる、電線は打つづいてゐる蝉の声は遠くでしてゐる懐しきものみな去ると。(一九三三・一〇・八)…
阿波のケンさん36さんの感想
何かを伝えようとしているが何かは分からない。電線から聞こえる様な蝉の声、雲に隠れた太陽 そして最後の懐かしき者皆去るとは?