青空文庫

「子に与ふ」の感想

子に与ふ

こにあたう

一輝1
宗教的葛藤死の受容父子関係厳粛孤絶

書き出し

遺書大輝よ、此の経典は汝の知る如く父の刑死する迄、読誦せるものなり。汝の生るると符節を合する如く、突然として父は霊魂を見、神仏を見、此の法華経を誦持するに至れるなり。即ち汝の生るるとより、父の臨終まで読誦せられたる至重至尊の経典なり。父は只此法華経をのみ汝に残す。父の想ひ出さるる時、父の恋しき時、汝の行路に於て悲しき時、迷へる時、怨み怒り悩む時、又楽しき嬉しき時、此の経典を前にして南無妙法蓮華経と

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