チェーホフ序説
チェーホフじょせつ
――一つの反措定として――
――ひとつのはんそていとして――
初出:「批評 第六十二号」1948(昭和23)年11月
神西清約102分
書き出し
1チェーホフは自伝というものが嫌いだった。——僕には自伝恐怖症という病気がある。自分のことがかれこれ書いてあるのを読んだり、ましてやそれを発表するために書くなどということは、僕には全くやりきれない。……そんな意味のことを、一八九九年の秋、つまり死ぬ五年ほど前に、同窓のドクトル・ロッソリモに書き送っている。これが単なるはにかみであるか、それともほかに何かわけがあるのか、その辺のことはあとで改めて考え…
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