ろはんき
初出:「馬酔木 第三十一巻第十号」馬酔木発行所、1952(昭和27)年10月2日
書き出し
「露伴忌がまた來ますね」と、今にもひよつこり、長髮をなびかせた面長の顏が、庭口からはいつて來さうな氣がする。その若い友人、松井夢六が死んだ。通知をうけたのは、二十五日である。七月三十日は、市川の菅野でなくなつた幸田成行翁の忌日なので、私たちは毎年、翁のためにさゝやかな佛事をいとなみ、そのあとで俳莚を催すのが例となつてゐる。寺は、土地では眞間山で通つてゐる日蓮宗の弘法寺である。寺格も高く、幸田家の菩…