かふうおうのほっく
初出:「俳句 第二卷第七號」角川書店、1953(昭和28)年7月1日
書き出し
遠みちも夜寒になりぬ川向う「川向う」は隅田川東岸である。即ち、寺島町玉の井の遊里を指す。さうすると、この作は對岸淺草側からの吟でなければならぬ。但し「遠みち」が直ちにその淺草からの道のりを意味するものと解せば、句の趣は甚だ削減される。第一、つい川一跨ぎの墨東の散歩を遠路とするのは、少しばかり表現の的確を缺く。そこで、この句を理解するためには、どうしても初五に關する若干の註が必要となつてくる。さもな…