青空文庫

「三稜鏡」の感想

三稜鏡

さんりょうきょう

(笠松博士の奇怪な外科手術)

かさまつはかせのきかいなげかしゅじゅつ

初出:「新青年」博文館、1932(昭和7)年11月号

書き出し

街頭はもう白熱していた。併し白い太陽は尚もじりじりとあらゆるものを照りつけ続けていた。そして路面からの反射光線は室内にまで火矢のように躍り込んでいた。捜査本部では、当事者達が一台の扇風機を囲んで、汗を拭きながら、捜査の方針を練っていた。「首があると、被害の見当も、それで大体わかるのだが……」刑事課長は溜息を吐くようにして言った。「首はしかし、あの溝には、絶対に無いですね」黒い不精鬚の刑事が煙草に火

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