青空文庫

「兵隊の宿」の感想

兵隊の宿

へいたいのやど

上司小剣59

書き出し

一坂の上の、大きな松の樹のある村總代の家で、あるきを呼ぶ太鼓の音が、ドーン、ドーン、ドン/\/\/\/\と響いてゐたのは、ツイ先刻のことであつたが、あるきの猪之介は、今のツそりと店へ入つて來て、薄暗い臺所の方を覗き込みながら、ヒヨロ高い身體を棒杭のやうに土間の眞ん中に突ツ立てゝゐる。店には誰れもゐないで、大きな眞鍮の火鉢が、人々の手摺れで磨きあげられたやうに、縁のところをピカ/\光らして、人間なら

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