青空文庫

「子をつれて」の感想

子をつれて

こをつれて

初出:「早稻田文學」1917(大正6)年8月

葛西善蔵44

書き出し

一掃除をしたり、お菜を煮たり、糠味噌を出したりして、子供等に晩飯を濟まさせ、彼はやうやく西日の引いた縁側近くへお膳を据ゑて、淋しい氣持で晩酌の盃を甞めてゐた。すると御免とも云はずに表の格子戸をそうつと開けて、例の立退き請求の三百が、玄關の開いてた障子の間から、ぬうつと顏を突出した。「まあお入りなさい」彼は少し酒の氣の※つてゐた處なので、坐つたなり元氣好く聲をかけた。「否もうこゝで結構です。一寸そこ

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