青空文庫

「月夜車」の感想

月夜車

つきよぐるま

初出:「毎日電報」1910(明治43)年3月6日

鏡花30

書き出し

一宴會と云ふが、優しい心ざしの人たちが、なき母親の追善を營んだ、其の席に列なつて、式も盞も濟んだ、夏の夜の十時過ぎを、袖崎と言ふ、………今年東京の何某大學の國文科を卒業して、故郷へ歸省中の青年が山の麓を川に添つて、下流の方へ車を走らして歸つて來た。やがて町に近い、鈴の緒と云ふ橋が、河原の晃々と白い、水の蒼い、對岸の暗い

2025/07/21

艚埜臚羇1941さんの感想

  題意は 月夜に 走り抜ける 人力車を 廻る 小さな話し だけど 鏡花の手にかかると ことのほか うつくしい 情景が 読み手の 脳裏に 忽然と 浮かび 上がる。女紅場(じょこうば)と よばれる 遊郭の 女に 遊芸-茶花を 教えていた 師匠が 息子を 育てあげたけど これからと いうときに 憐れにも 突然 なくなり その師匠に たいする 報酬のため 芸者達が 施主となり 会が 開かれて 送迎の車が 月の下を 走り回る 有様が 格調高く 再現される。夢の中のような 出来事と 感じた。

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