青空文庫

「媒介者」の感想

媒介者

ばいかいしゃ

初出:「東亞文藝 第一卷第四號」1909(明治42)年4月

徳田秋声19

書き出し

青山夫人と自分と出來て了つた翌朝のこと二人の仲を取り持つた指井から電話が掛つてた。尤も明白地に指井とは云はぬ、『友人です、お掛りになれば分明ります。』とだけで名前を云はない。『隨分變なお方ですね。』と取り次いだ女中が言つた。掛つてみると、電話口ながら何とやら冷かすやうな聲で、『今日お出でになるでせう。』と故意と鹿爪らしい調子で訊く。『如何しやうかと思つてる所。或は行かないかも知れない。』と自分も故

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