青空文庫

「ある職工の手記」の感想

ある職工の手記

あるしょっこうのしゅき

初出:「改造」1919(大正8)年9月号

宮地嘉六58

書き出し

私の家はどういふわけか代々続いて継母の為に内輪がごたくさした。代々と云つても私は自分の生れない以前のことは知らぬが、父の時代が既にさうであつた。父は早く実母に死なれて継母にかゝつた。その継母に幾人もの男の子が出来て、父は我が家にゐるのが面白くなくなつて遂に家を飛び出した。父は長男であつたが亡父の遺産を満足に受けつぐことも出来なかつた。それは継母の奸策の為めであつた。私も丁度父と同じやうな行き方にな

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