すみだがわ
初出:「新小説 第14年第12巻」1909(明治42)年12月
書き出し
一俳諧師松風庵蘿月は今戸で常磐津の師匠をしてゐる実の妹をば今年は盂蘭盆にもたづねずにしまつたので毎日その事のみ気にしてゐる。然し日盛りの暑さにはさすがに家を出かねて夕方になるのを待つ。夕方になると竹垣に朝顔のからんだ勝手口で行水をつかつた後其のまゝ真裸体で晩酌を傾けやつとの事膳を離れると、夏の黄昏も家々で焚く蚊遣の烟と共にいつか夜となり、盆栽を並べた窓の外の往来には簾越しに下駄の音職人の鼻唄人の話…
4b0e03c3248fさんの感想
学校を出て出世するよりも役者稼業で遊び暮らしたほうが良い。そういう人が多いほうが世の中おもしろい。すみだ川の四季を描いて明治末の風景と習俗を今に伝える好短編。