青空文庫

「尊攘戦略史」の感想

尊攘戦略史

そんじょうせんりゃくし

初出:「中央公論」1931(昭和6)年7月号

服部之総34

書き出し

一スローガン「尊王攘夷」はなにも最初から討幕を内容としたものではなかった。反対に、本来のそれは、幕権のためにする名実ともに「天下副将軍」的なスローガンとして生れたものである。近世史上の尊王論そのものが、やはりそうで、徳川時代の尊王論の先駆者たち蕃山、闇斎、素行、そして水戸学の始祖光圀らが、時を同じうして四代五代将軍時代に輩出したのも偶然ではない。幕府の基礎はすでに定まって、いわば荘厳工事だけが残さ

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