青空文庫

「加波山」の感想

加波山

かばさん

初出:「総合文化」1947(昭和22)年1月号

服部之総15

書き出し

桜井家の媒酌としてその村に行ってからことし九年ぶりになる。村は加波山事件の加波山の東麓にあたり、親鸞聖人の旧蹟として名高い板敷山のいただきは北方の村境であり、郡境ともなっている。九年まえに行ったときは東京で式を済ませて式服のまま自動車を牛久、土浦、石岡、柿岡と、秋晴の野を丘を走らせたから板敷山は越えない。かっきり暮れてから着いた。そしてもいちど村での式を挙げたのである。仲人の私のまえに五人の老人が

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