青空文庫

「新らしき祖先」の感想

新らしき祖先

あたらしきそせん

初出:「新潮」1917(大正6)年10月号

相馬泰三29

書き出し

一或る年の、四月半ばの或る晴れた日、地主宇沢家の邸裏の畑地へ二十人ばかりの人足が入りこんで、お喋舌をしたり鼻唄を唄つたりして賑かに立働いてゐた。或る者は鋤を持つて溝を掘り、或る者はそこから掘上げられた土を運んで、地続きになつてゐる凹みの水溜を埋めてゐ、また或る者は鍬の刃を時々キラキラと太陽の光に照返へらせながら去年の畝を犂返してゐた。漸く雪解がすんだばかりなので、ところどころでちよろ/\小流が出来

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