青空文庫

「生きること作ること」の感想

生きること作ること

いきることつくること

初出:「新小説」1916(大正5)年4月

和辻哲郎21

書き出し

一私は近ごろ、「やっとわかった」という心持ちにしばしば襲われる。対象はたいていこれまで知り抜いたつもりでいた古なじみのことに過ぎない。しかしそれが突然新しい姿になって、活き活きと私に迫って来る。私は時にいくらかの誇張をもって、絶望的な眼を過去に投げ、一体これまでに自分は何を知っていたのだとさえ思う。たとえば私は affectation のいやなことを昔から感じている。その点では自他の作物に対してか

1 / 0