青空文庫

「伝通院」の感想

伝通院

でんずういん

永井荷風18

書き出し

われわれはいかにするともおのれの生れ落ちた浮世の片隅を忘れる事は出来まい。もしそれが賑な都会の中央であったならば、われわれは無限の光栄に包まれ感謝の涙にその眼を曇らして、一国の繁華を代表する偉大の背景を打目戍るであろう。もしまたそれが見る影もない痩村の端れであったなら、われわれはかえって底知れぬ懐しさと同時に悲しさ愛らしさを感ずるであろう。進む時間は一瞬ごとに追憶の甘さを添えて行く。私は都会の北方

2019/02/20

ハルチロさんの感想

本作品は、著者が幼少の頃の思い出の地“小石川”界隈の情景が、人間模様と絡まりあって綴られています。明治期の小石川界隈の情景を知ることができて、面白いです。本題『伝通院』は、作品中紹介されている通り、江戸時代の江戸三大霊山の一つで、徳川家康の生母である於大の方の号である“伝通院”から名付けられた寺社です。今日でも、牛天神~伝通院~蒟蒻閻魔ヘと散策すると、本作品中の情景の面影を垣間見れた気がしてきます。

2018/10/17

d164951b8b1fさんの感想

小石川に住んでいるものですが、高層マンションが立ち、蒟蒻閻魔も影が薄くなったこの界隈。 往時を彷彿とさせる荷風の文章は、実に心に沁みます。

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