青空文庫

「山道」の感想

山道

やまみち

初出:「改造」1926(大正15)年7月

中里介山20

書き出し

大正十何年の五月、甲斐の国の塩山の駅から大菩薩峠に向って馬を進めて行く一人の旅人がありました。中折の帽子をかぶって、脊広の洋服に糸楯、草鞋脚半といういでたちで頬かむりした馬子に馬の口を取らせて、塩山からほぼ、三里の大菩薩峠を目ざして行く時は前にいった通り陽春の五月、日はまさしく端午の当日であります。沿道の谷々には桃李が笑っている、村々には鯉幟がなびいている。霞が村も山も谷も一たいに立てこめている。

2025/07/16

艚埜臚羇1941さんの感想

  小説の 創作の 意図 解題の ような 文章である。あの 大菩薩峠の 作者らしき 紳士が 同行者達と 文学論 文明論を 繰り広げるのが なんとも 面白い。中里は 蟄居生活を 山の中で 余儀なく していたので 物言わぬは はらふくるる 想いを 吐き出した 感があり 創作の 隠し味に 気づかされたりして 啓発された。

2022/01/28

19双之川喜41さんの感想

 はじめは 小説かと思い込んで読み始めると 終わり頃に 筆者である介山自身が随筆であると 明記している。 自分自身では 著書 大菩薩峠の 主人公 机竜之介について 読者は「善悪は超越してあの性格そのものを珍しがつている」と記し ニヒリストかもしれないとする。

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