青空文庫

「明治の文学の開拓者」の感想

明治の文学の開拓者

めいじぶんがくのかいたくしゃ

――坪内逍遥――

――つぼうちしょうよう――

初出:「新潮」1912(明治45)年1月

内田魯庵12

書き出し

坪内君の功労は誰でも知ってる。何も特にいわんでも解ってる。明治の文学の最も偉大なる開拓者だといえばそれで済む。福地桜痴、末松謙澄などという人も創業時代の開拓者であるが、これらは鍬を入れてホジクリ返しただけで、真に力作して人跡未踏の処女地を立派な沃野長田たらしめたのは坪内君である。有体にいうと、坪内君の最初の作『書生気質』は傑作でも何でもない。愚作であると公言しても坪内君は決して腹を立てまい。私が今

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