青空文庫

「淡島椿岳」の感想

淡島椿岳

あわしまちんがく

――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――

――かときのぶんかがさんしゅつしたがかいのハイブリッド――

初出:「きのふけふ」博文館、1916(大正5)年3月

内田魯庵80

書き出し

震火で灰となった記念物の中に史蹟というのは仰山だが、焼けてしまって惜まれる小さな遺跡や建物がある。淡島寒月の向島の旧庵の如きその一つである。今ではその跡にバラック住いをして旧廬の再興を志ざしているが、再興されても先代の椿岳の手沢の存する梵雲庵が復活するのではない。向島の言問の手前を堤下に下りて、牛の御前の鳥居前を小半丁も行くと左手に少し引込んで黄蘗の禅寺がある。牛島の弘福寺といえば鉄牛禅師の開基で

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