けんゆうしゃとぶんしげき
書き出し
演劇改良の声が漸く高まりかけた明治二十三年の正月、硯友社は、初めて文士劇を実演した。それまでに各所で素人芝居が開演されぬでは無かつたが、たとへそれは遊戯的に終つたとしても、兎に角文士が揃つて新作の脚本を上演したといふ事は、当時に於て一大驚異で有つたのだ。『今の俳優には、役に就ての心理解剖が出来ない。我々は芸が下手でも、それが出来る。今に教育有る者が続々劇界に投じるだらう、我等は其先駆者だ。』そんな…