むぎのめ
初出:「中外日報」1930(昭和5)年3月
書き出し
一善ニョムさんは、息子達夫婦が、肥料を馬の背につけて野良へ出ていってしまう間、尻骨の痛い寝床の中で、眼を瞑って我慢していた。「じゃとっさん、夕方になったら馬ハミ(糧)だけこさいといてくんなさろ、無理しておきたらいかんけんが」出がけに嫁が、上り框のところから、駄目をおして出ていった。「ああよし、よし……」善ニョムさんは、そう寝床のなかで返事しながらうれしかった。いい嫁だ。孝行な倅にうってつけの気だて…
6b1eb9c38584さんの感想
かわいそう。何の救いもない……。