青空文庫

「無学なお月様」の感想

無学なお月様

むがくなおつきさま

学問的考察文学批評知性と感性の対立分析的軽妙風刺的

書き出し

野尻精一氏は奈良女子高等師範の校長である。東京にゐる頃にはさうも思はなかつたが、住むでみると奈良は景色がよく、景色がよくないところには定つて古蹟があつて、遊ぶには恰好な土地だなと野尻氏は思つた。それにつけて、かういふ結構な土地に来て、鹿のやうに柔和で、鹿のやうに尻つ尾の短い女学生を預つてゐる自分の身の幸福さを思ふらしかつた。野尻氏は晩餐がすむと、毎晩のやうに奈良公園へ散歩に出た。ある晩の事、いつも

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