青空文庫

「黒壁」の感想

黒壁

くろかべ

初出:「詞海 第3輯第9巻、第10巻」1894(明治27)年10月、12月

鏡花14

書き出し

上席上の各々方、今や予が物語すべき順番の来りしまでに、諸君が語給いし種々の怪談は、いずれも驚魂奪魄の価値なきにあらず。しかれども敢て、眼の唯一個なるもの、首の長さの六尺なるもの、鼻の高さの八寸なるもの等、不具的仮装的の怪物を待たずとも、ここに最も簡単にして、しかも能く一見直ちに慄然たらしむるに足る、いと凄まじき物躰あり。他なし、深更人定まりて天に声無き時、道に如何なるか一人の女性に行逢たる機会是な

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