ことねがわのさくら
書き出し
一東京の櫻吉野山去年のしをりの路かへてまだ見ぬ方の花をたづねむ心は花に浮き立つ陽春四月、路伴れもがなと思ふ矢先、『今日は』とにこ/\顏の夜光命。待つてましたと裸男もにこ/\。挨拶もそこ/\にして語り出づるやう、『やよ聞き給へ。花は櫻、櫻は日本、日本の中にても東京附近、げに/\花の都なる哉。さてその東京附近には、吉野櫻と稱するもの多きが、櫻の中の櫻とも云ふべき山櫻は、小金井の獨得なり。小平村小川水衞…