そうもくとう
初出:「三八九 第五集」1933(昭和8)年1月20日
書き出し
茶の花庵のまわりには茶の木が多い。五歩にして一株、十歩にしてまた一株。私は茶の木を愛する、その花をさらに愛する。私はここに移ってきてから、ながいこと忘れていた茶の花の趣致に心をひかれた。捨てられるともなく捨てられている茶の木は『佗びつくしたる佗人』の観がある。その花は彼の芸術であろう。茶の木は枝ぶりもおもしろいし、葉のかたちもよい。花のすがたは求むところなき気品をたたえている。この柿の木が其中庵を…