青空文庫

「『心理試験』を読む」の感想

『心理試験』を読む

しんりしけんをよむ

初出:「新青年 第六巻第一二号」1925(大正14)年10月号

書き出し

探偵小説の類は、西洋でもいわゆる「軽い読物」として、文学上には大した地位を占めていないのが普通である。戦後に書かれた二三冊のフランス文学史を開いてみても、私はモーリス・ルヴェルの名前すら発見することができなかった。探偵小説の本場である英米においても恐らく同じであろうと思う。ウェルズや、チェスタトンやハガードなどは別として、純粋の探偵小説家で、いわゆる「文壇」に重きをなしている人はほとんどなかろうと

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