青空文庫

「日本の近代的探偵小説」の感想

日本の近代的探偵小説

にほんのきんだいてきたんていしょうせつ

――特に江戸川乱歩氏に就て――

――とくにえどがわらんぽしについて――

初出:「新青年 第六巻第五号」1925(大正14)年4月号

書き出し

一探偵小説を、一般の小説から、特にきりはなして、これを特殊の眼で見、特殊の批評の尺度をもってこれにのぞみ、あたかも、探偵小説が、先天的に、特殊の価値を約束されているように見做すのは、間違いであると私は考える。たとえば、コナン・ドイルが、結局イギリスにおいて二流の作家に過ぎないと仮定しても、それだから探偵小説が第二義的の芸術価値をしかもたぬとは言えない。それはコナン・ドイルの芸術的天分が、二流以上に

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