青空文庫

「レモンの花の咲く丘へ」の感想

レモンの花の咲く丘へ

レモンのはなのさくおかへ

初出:「レモンの花の咲く丘へ」東京堂書店、1910(明治43)年10月

国枝史郎183

書き出し

この Exotic の一巻を三郎兄上に献ず、兄上は小弟を愛し小弟を是認し小弟を保護したまう一人の人なり。序に代うるの詩二編孤独の楽調三味線の音が秋の都会を流れて行く。霧と瓦斯との青白き光がMitily の邦の悲哀を思わせる宵。……………………唄うを聞けや。艶もなき中年の女の歌、節は秋の夜の時雨よりも凋落の情調ぞ。私の思い出は涙ぐみただ何とはなしに人の情の怨まるる。その三味線と女の歌の聞こゆる間。木

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